【損しないための不動産講座】家を買うメリット・デメリットとは?家を買って失敗する人のパターンも解説

こんにちは。ハルです。

今回のテーマは『家を買うメリットとデメリット』です。

  • 家を買うメリットとデメリットって何?
  • 自分は買っても大丈夫なのかな?失敗するケースが知りたい

こんな疑問にお答えします。

筆者のプロフィール
  • キャリア:不動産デベロッパー入社11年目
  • 保有資格:宅地建物取引士・再開発プランナー
  • 家族構成:私-妻-子供の3人家族
  • 住まい:3LDKの分譲マンション(35年の変動金利)
  • 性格:『損すること』が死ぬことの次に嫌い

本記事では

解説ポイント
  • 住宅購入の主なメリット3つ
  • 住宅購入の主なデメリット3つ
  • 買って失敗する人の特徴

これらについて解説します。

住宅購入を検討されている方は、是非参考にされてください。

住宅購入のメリット

主なメリット

住み続けることができる

持家なんだから当たり前じゃん

と思ったあなた。正解です。

しかし、その当たり前の『住み続けられること』こそが住宅を購入する最大のメリットです。

そもそも「住宅の役割」とは何か、考えたことはあるでしょうか。学術的にはさまざま定義がされていますが、最も普遍的と言えるのは下の2つだと思います。

  • 雨風から身体を守る「シェルターとしての役割」
  • 社会的活動の基盤となる「拠点としての役割」

当たり前のことですが、家が無ければ雨に打たれ、風に吹かれる生活を強いられます。

高架下や駅の構内であれば多少は身を隠すことができますが、冬は寒く夏は暑い、とても快適とは言えず、私達が常識と思う健康で文化的な生活を送ることは極めて困難なはずです。

また、家が無ければ「あなたはどこの誰ですか?」と問われた際に、「私はここに住む私という者です。」と答えることもできません。

家が無ければ常に危険を身に感じ、自己紹介すら苦しい行為となるのです。

いやいや、それってホームレスのことでしょ?自分には関係ないよ。

そう思われる現役世代の皆さんには結構ですが、心配なのは老後の話です。

下の記事は高齢者の賃貸事情について、実際に現場で働く司法書士が執筆したものです。

「貸さない家主が悪い」とは誰も言えない…83歳男性が25年住んだ月10万円の家を強制退去させられた理由

この記事の要約は以下の通りです。

記事の要約
  • 問題視される高齢者(賃借人)が増えてきた
  • 高齢者には家を貸さないオーナーも増えている
  • 日本人は約20人に1人が認知症になる見込み⇨高齢者が借りられる家がさらに少なくなる?

つまり『これからはどんどん高齢者が家を借りにくくなる社会になる』と危惧されているのです。

記事に登場する高齢者は経済的にも人格的にもかなり特殊な事情がありますし、常識的な方ならば強制退去を裁判所から命ぜられることもないでしょう。

しかし、このような事例の増加によって「高齢者が選択できる賃貸住宅が減少する社会」に向かっていくことは、現状からしてほぼ間違いなさそうです。

お金があっても常識人でも関係ない

自分がどれだけ常識人で良識的な行動に努めていても、「高齢者だから」という理由で入居審査が通らないかもしれません。

この場合、住みたい家を諦めるか、住みたい家を現金で購入するかです。

購入できなければ、高齢者でも入居できる旧公団の団地などに入居するのかもしれません。

これまで家賃20万円の家に住んでいた人が、10万円に満たない団地の生活に、果たして満足できるのでしょうか。(私は団地が大好きです。)

家を購入していれば、ひとまずは『自分の住みたい家』(あるいは「かつては」住みたいと感じていた家)に住み続けることができます。

家の所有者として、賃貸オーナーに影響されず、家族や親族に頼らず、自らの考えで自らの生活をデザインできるのです。

この『当たり前の自由』は、豊かな人生を送るための非常に大切な要件であると、私は考えています。

老後に心配ならば、住宅購入はその心配を和らげる一つの方法だと思うのです。

自由にリフォームやリノベーションができる

長く家に住んでいると色んなところが気になってきませんか?

「家具の置きにくいリビングだな」

「もっとシックな壁紙だったら良いのにな」

「コンセントの位置めっちゃ悪いな」

「コンロ古いし汚いな…交換したいな」

もう…引っ越しちゃいたいな…

無論、持家ならば自由にリフォームすることができます。

大掛かりなリノベーションで間取りを変更することも、壁紙を変えて気分を変えることも、コンセントを増設して諦めていたルンバを設置することも、自動調理機能付きの最新ビルドインコンロに交換することも、全てご自身の自由な発想で実現することができます。

革製品やジーンズと同様に、家も手を掛け大切にしていれば愛着が湧いていくものです。

またリフォームやリノベーションによってデザインや機能を更新すれば、オリジナル性も相まって、さらに愛でたい存在になるはずです。

賃貸住宅でも、家具の配置や照明によって自分好みの生活空間を作ることができます。(私はこれも素敵だと思います。)

が、基本的には賃貸住宅は原状回復できる範囲でしか手を加えられません。

自分好みにカスタマイズできる『柔軟性』は、やはり持家が圧倒的に優っていると言えます。

団体信用保険で万が一に備えることができる(民間の住宅ローンを組む場合)

私は家を購入した後、生命保険を解約しました。(厳密に言うと「ドル建ての元本保証型保険」です)

なぜかと言えば『団体信用生命保険』が生命保険の代物になると思ったからです。

団体信用生命保険(略して「団信」)は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態となった際、生命保険会社がローン契約者に代わってローン残高相当分の保険金を金融機関に支払う保険です。

民間の住宅ローンを組む場合は、申込者が団信に加入できることが融資条件となります。(健康な身体が必要です。)

団信があれば、万が一私が死亡した時は妻と子供に家が残ります。

住居費は生活費のかなりの割合を占める支出ですので、私が亡き後も、家が無料ならばなんとか妻だけの収入でも生活していけると思ったのです。

なので、その時加入していた月々5万円の生命保険は解約する事にしました。

貯蓄型とはいえ、月々5万円の支払いは家計の悩みでもあったので、解約することで同時に気持ちの負担も減らすことができました。

考え方によっては固定費を抑えるメリットにも

また、シンプルに固定費を抑えるメリットもあると思います。

団信の保険料は住宅ローンの金利に含まれているものですので、低金利のこの現代、非常に安い金利で住宅価格相当分の生命保険に加入できる、とも言い換えることができます。

参考として、5,000万円の住宅ローンを組んだ場合の月々の金利(変動金利0.425%)と、5,000万円の生命保険(某ネット系保険会社の死亡保険、35歳加入で10年掛け捨て)の保険料を見てみましょう。

  • 住宅ローン金利:9,094円/月
  • 生命保険料:6,335 円/月

ご覧の通り月々の支払いにそれほど大きな差はありません。

もし、あなたが『団信は死亡保険の代わりになる』と捉えることができるなら、月々9,094円の支払いで家と保険も同時に手に入れることができるわけです。

あなたに万が一のことがあっても、残された家族はそのまま住むも良し、売却して現金化しても良いのです。

このように、団信付きの住宅ローンを組むことで、余計な生命保険料を支払う必要がなくなり、結果、固定費を抑えることができるのです。(異論は認めます。)

住宅購入の主なデメリット

主なデメリット
  • 気軽に住み替えられない
  • 大きな『負債』を抱えることになる
  • 維持管理に神経を使わなければいけない

気軽に住み替えられない

賃貸住宅の最大のメリットとも言える「住み替えの自由」が少ないことが、住宅購入の最大のデメリットです。

引っ越しする理由は人によって様々です。

転勤や家族構成の変化、単に「飽きたから」という理由だってあるでしょう。

賃貸住宅であれば、ライフスタイルや気持ちの変化によって比較的に自由かつ短期的に住み替えることができす。

一方の持家の場合、持ってしまっている以上は気軽に住み替えることはできません。

よっぽどお金持ちでセカンドハウスが買える人は別として、住宅ローンを組んでいるのなら、住み替えるためには持家を売却してローンの残債を完済しなければなりません。

売却するにも「明日売れます」なんてことはかなり稀で、普通に順を追っていけば3ヶ月はかかるうえ、高額な仲介手数料を支払わなければなりません。

賃貸とは比較にならないほど手離れが悪いのが持家なのです。

また、引っ越す理由はネガティブなことかもしれません。いわゆる『ご近所トラブル』というやつです。

ご近所トラブルの例
  • 騒音や悪臭を出す近隣住民
  • ゴミを撒き散らかす近隣住民
  • 家の中を覗いてくる近隣住民
  • シンプルに嫌がらせしてくる近隣住民

一昔前なら問題の近隣住民に直接注意しに行く人もいたと思います。

しかしこのご時世、その近隣住民が誰でどんな人か分からないということもあるでしょうし、闘いに行って逆に危害を加えられる恐怖だってあります。

賃貸なら多少の出費は悔しいですが、自分が引っ越してしまえば穏便に解決が出来ます。

しかし持家の場合、近隣住民のせいで自宅を手放すことも悔しいですし、余計なお金がかかるなら尚更売却に踏み切るのは困難です。

売却するにしてもご近所トラブルは『告知事項』になるため、売却の足枷にもなります。

自分は悪いことをしていないのに、迷惑な近隣住民のせいで売却価格が相場よりも低くなってしまうかもしれません。こんな目に遭ったら、本当に損でしかありません。

大きな『負債』を抱えることになる

不動産は『資産』ではありますが、住宅ローンを組んで購入している場合は同時に『負債』でもあります。

新築住宅を購入した場合、住んだ瞬間に10%〜20%価格が下がると言われています。

理由としては売主であるデベロッパーの販売経費と利益に約20%かかるため、新築価格は中古相場の20%増しになるからです。(俗に「新築プレミアム」と言います。)

ただ実際はこんなに単純な話ではなく、都心のマンションなら買った価格よりも高い中古相場が付くなど、ケースバイケースです。

いずれにせよ、一般論で言えば、仮に5,000万円の新築住宅を買った場合、その瞬間に負債は5,000万円なのに資産は4,000万円に目減りするというわけです。

中古は新築よりも下落幅は小さいものの、建物の老朽化に合わせて相場価格は下落することが原則です。

「住むための家」なんだから別に資産価格なんて気にしなくても良いじゃん。

こう言う人もいます。私も全く同感です。住むために買った住宅に資産性を求めるのは本来ナンセンスだと思います。

思いますが、なるべく損をしたくないというのが人の心情というもので、買うと損するかもしれないからと、2年経っても3年経っても結局買えない人が五万といるのです。

それ以上に、資産価格の下落は以下のようなケースで大きな悩みの原因となります。

  • 買ってすぐに売る必要がある場合
  • ローンの支払いが難しくなった場合

住んだ瞬間に資産価格が下がるということは、購入価格よりも売却価格が低い状態になるということです。

もし、入居して間もなく離婚等の予期せぬ事情で売却することとなった時、購入価格と売却価格の差分が損金となります。

住宅購入代金をフルローンで支払っていた場合、この損金(=残債)は手元の現金で補填しなくてはなりません。手元に現金がない場合は、別の場所から借金して工面するほかありません。

そのうえ、売却には仲介手数料や引越し費用などの諸費用もかかるため、さらなる支出が発生します。

同様の現象は、ローンの支払いが出来なくなった際にも起こります。

ローンの返済が滞ると、最終的には家を金融機関が競売にかけて売却します。

競売は市場価格よりもさらに低い価格で落札されてしまうため、損金(=残債)が大きくなる可能性があります。

残債は売却後もローン契約者(債務者)が支払い続けなければならず、支払えなければ自己破産するしかありません。

ここまで想定して家を買う人はいないと思いますが、実際にローン破綻する人は3%と言われています。

ローン破綻者の数値は、住宅支援機構「フラット35」を利用した契約者の統計です。出典:住宅支援機構「統合報告書2023」

この割合を多いとみるか少ないとみるかは人それぞれですが、少なからずそのような末路の方々が存在する以上「自分にもその可能性があるんだ」と危機感を持って住宅ローンを組むことが賢明です。

維持管理に神経を使わなければいけない

持家には維持費がかかります。

不動産を持っているだけで固定資産税と都市計画税は毎年課税され、外壁や屋根の塗り替え、給湯器など設備交換は10年〜15年毎に必要になります。

一説によると、一戸建ての場合は年間に30万円〜40万円が維持費がかかる言われています。

マンションも同様に毎年税金がかかるほか、日々のメンテナンス費用は管理費・修繕積立金として管理組合に毎月支払います。

管理費・修繕積立金の金額はマンションによって異なりますが、1㎡あたり300円〜400円程度が相場と言われています。

70㎡なら月々21,000円〜28,000円です。

賃貸の場合、維持費分も賃料に含まれているため「維持費は持家のデメリット」と単純にみることはできません。

しかし、賃貸で仮に給湯器が壊れたとか雨漏れが生じた場合は、その修繕費は賃貸オーナーが負担しますが、持家ならこの様な突発的な支出にも対応しなければなりません。

特に一戸建てを購入される方は、維持費がどのくらい必要なのかを把握し、一定のお金をプールしておく必要があります。(建売住宅を購入される方は特に要注意です)

このように、管理や維持費の出納管理にいちいち神経を使わなければならないことは、持家のデメリットと言えるわけです。

買って失敗する人の特徴は?

私は『買いたい家がある人は誰もが買うべきだ』と考えています。

しかしながら、先ほど述べたローン破綻を含め、住宅購入によって悪い意味で人生が変わってしまった人は世の中たくさんいます。

その失敗する人に多い特徴とは何か、私の見聞の範囲で考えてみたところ、以下2つが思い付きました。

失敗する人のパターン
  • 貯金できないほど高価な物件を買った人
  • 営業マンに押し売りされて買った人

貯金できないほど高価な物件を買った人

せっかく一生に一度の買い物なんだから、頑張っちゃおうかな

と予算よりも高い物件を買うことを、不動産業界では『買い上がり』と呼びます。

業界用語があるくらいなので、住宅購入において買い上がるお客さんは非常に多いです。

確かに、生活に豊かさを求めて住宅購入する人が大半なわけで、妥協するくらいなら明るい未来を見据えて少々の予算オーバーは飲み込んでしまう、この気持ちはとてもよく理解ができます。

が、これが命取りです。

ローン返済が滞る人の大半は、病気や怪我、就業先の倒産などによる収入減が原因です。

場合によっては支払いを一時ストップしてくれる金融機関も無くはないですが、永久に猶予してくれるわけはなく、基本的に返済は継続していきます。

そもそも貯蓄ができてない

収入が無い、でも家は手放したくは無い、となれば、貯蓄から支払いを継続するしかない、にも関わらず、返済不能になる人はそもそも貯蓄が限りなくゼロの人が多いです。

貯蓄がない原因は、

  • 本人の浪費が過ぎるか
  • 固定費が高すぎるか

このどちらかです。

浪費癖は同情の余地がありませんが、固定費が高過ぎる場合、それは住宅ローンの返済額が収入に対して高過ぎる可能性があります。

豊かな生活を実現するために家を買ったのに、かえってそれが人生を狂わせることになってしまうのは大変嘆かわしいことです。

マイホーム探しを一生懸命していると、どんどん目が肥えてきて「もっと良い物件を、さらに快適な住まいを」と欲求は青天井です。

本来、毎月最低でも手取り収入の1割は貯蓄に回し、3ヶ月〜半年分の生活費を賄える『生活防衛資金』を確保しておきたいところです。

しかし、「頑張って買っちゃった人」はローン返済に追われて貯蓄どころではありません。

生活防衛資金が無いために、予期せぬ収入減に対応できず、やがて返済を滞納するようになるのです。

住宅購入の際には、兎にも角にも資金計画が重要です。

そして、予算をはみ出さない範囲で最良や物件を見つけ出す心構えが必要なのです。

営業マンに押し売りされて買った人

不動産は取り扱いが非常に難しい流通商品です。

適確に取り扱うには専門的な知識が必要なので、宅地建物取引業の免許を持った仲介会社が存在します。

しかし、その仲介会社が金の亡者だとタチが悪いのです。

仲介会社の中には「即日案内、即日申込み、翌日契約」と公然と謳う会社も存在します。いわゆる『ゴリゴリ系』の営業会社です。

なんとなく不動産屋に入ったら、営業のお兄さんにアレコレ紹介されて、「今から見に行きましょう」と案内され、気付いたら購入申込書にサインしてしまう人は、入居後に後悔するパターンの黄金例です。

何千万円もする高価な買い物なのに、人はテンションが上がると簡単に買ってしまいます。そのツボを、腕の良い営業マンは巧みに押してくるのです。

厄介なのは、押し売りされてるのに、押し売りされている気がしないのです。

その営業マンが仲介業の知識や経験が豊富で、良心的な人格であれば良いのですが、『売れさえすれば良いタイプ』だと、契約した後に「言った言わない」の水掛け論に発展することが度々生じます。

諸費用やローン周の説明が不十分だったりすると、営業マンとお客さんの間で揉めることが非常に多いのです。

さらに、押し売りだと、資金計画がずさんなまま購入している人が非常に多い印象があります。

これではローンの返済不能リスクが高まるのは当然です。

『なんとかなるさ』と思っても、なんとかならない人がたくさんいることを忘れてはなりません。

押し売りした営業マンは、あなたのローン返済まで面倒をみてはくれません。

損をしないためのファーストステップは営業マン選びから

極論を言えば、家を買うべきかどうか、買うことのメリットが大きいのか、それともデメリットが大きいのかはその人次第です。

ケースバイケースであるからこそ、親身に寄り添ってくれる不動産のプロの存在は欠かせません。

その良識的なプロを見つけることが『損をしない不動産売買』を成功させるためのファーストステップです。

じゃあどこの不動産屋に行けばいいの?

そう思われる方は下の記事で詳しく解説していますので、是非ご覧になってください。

以上、本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。