こんにちは。ハルです。
今回のテーマは『媒介契約』についてです。
媒介契約は不動産取引では必ず締結する書面ですが、いまいちピンと来ない方も多いと思います。
本記事では
- 媒介契約とは?
- 媒介契約の種類
- 売却なら一般媒介は避けた方が良い理由
これら内容について解説します。
不動産売買の基礎知識として、ぜひ参考にされてください。
目次
仲介には媒介契約が必要
不動産を売る場合・買う場合、いずれの場合でも仲介会社と媒介契約を締結します。
『媒介』と聞くと馴染みがありませんが
媒介 = 仲介
です。
媒介契約を締結するタイミングは、
本来、媒介契約は仲介会社が売却活動や物件探しを開始する前に締結することが原則です。
しかし、「買う場合」は、購入物件が決定してから媒介契約を締結することがほとんどです。
物件紹介を受けるだけなのに、
媒介契約書にサインしてください!!
と仲介会社から迫られたら、お客様が引いちゃうからです。
そのため、実務上は購入申込書を書く時、もしくは購入物件の契約と同時に媒介契約を締結することが多いです。
媒介契約の内容
媒介契約書の様式は会社や会社が所属団体によってマチマチです。
ただし、どれも国土交通省の『標準専任媒介契約約款』というひな形に沿った内容なので、あまり違いはありません。
心配な方は、媒介契約書を締結するときに、この約款と見比べてみてもいいかと思います。
なお、媒介契約書には主に下記内容が記載されています。
- 媒介契約の種類
- 有効期間
- 売却活動の状況報告
- 仲介手数料の計算方法
- レインズへの登録有無
『契約』と聞くと重苦しい感じがしますが、媒介契約は仲介会社の活動規範を定めることが主な目的です。
なので、気軽に契約しても良いということはありませんが、媒介契約が原因で顧客側として重篤な損害金が発生する、みたいなことは基本的にはありません。
また、媒介契約の期間は原則3ヶ月ですが、途中で売主様から切っても問題ありません。
この営業マン合わないわ
と思って即時解約したとしても、仲介会社から金銭を要求されるようなことはありません。
なお、解約通知は口頭でもオーケーですが、心配な方は念のため書面通知するのもアリだと思います。
媒介契約は3種類
媒介契約は3つの種類があります。
これが若干ややこしいです。
①一般媒介
②専任媒介
③専属専任媒介
3つの違いをざっくり理解したい方向けに、特徴をざっくり並べると、
- 複数の仲介会社に頼むこと:×
- 自己発見型取引:〇
- レインズへの登録義務:×
- 売却活動の報告義務:×
- 購入の場合⇒基本的に一般媒介
- 複数の仲介会社に頼むこと:×
- 自己発見型取引:〇
- レインズへの登録義務:〇(7日以内)
- 売却活動の報告義務:〇(14日に1回以上)
- 複数の仲介会社に頼むこと:×
- 自己発見型取引:×
- レインズへの登録義務:〇(5日以内)
- 売却活動の報告義務:〇(7日に1回以上)
上でもハイライトしましたが、ポイントは「レインズ」と「自己発見取引」の扱い方です。
レインズとは?
レインズとは、『不動産流通機構』という公的機関が運営する情報ネットワークシステムです。
シンプルに言えば『不動産のマッチングサイト』みたいなものです。
仲介会社は売主から売却依頼を受けると、その物件の概要をまとめたペラ紙を作成します。
このペラ紙を不動産業界では『販売図面』や『マイソク』など、いろいろな呼び方をします。
専任・専属専任媒介の場合は、これをデータ化して一定期間内にレインズに掲載することが義務づけられています。
レインズは不動産の流通を促進することを目的としたサイトです。
全国のほとんどの仲介会社がレインズを利用して物件探しを行っているため、掲載することで多くの顧客をリーチすることができます。
仲介会社の窓口に行って物件探しをお願いすると
少々お待ちくださいね!!
と、何やらパソコンを打ち始めると思いますが、この動作は基本的にレインズを見ていると思って差し支えありません。
ちなみに、レインズは一般の方は利用することができません。理由は諸説ありますが、不動産業界の既得権益だと私は理解しています。
自己発見取引とは?
自己発見取引とは、売主自らが買主を見つけて売却することを言います。
想定されるものとしては、友人や親戚に売却するケースです。
一般媒介と専任媒介であれば、自己発見取引では仲介会社を通さずに売却することができます。
もちろん、仲介手数料はかかりません。
ただし(急に話は脱線しますが)自己発見取引はおすすめできません。
不動産業界は『クレーム産業』と呼ばれるほど、取引上のトラブルは多いです。
不動産のプロが仲介に入ってもトラブルが多いのに、素人同士ならそのリスクは各段に高まります。
また、親しい間柄であってもお金が絡めば揉めることはしょっちゅうありますし、私も実務でたくさん見てきました。
特に、親戚だからと口約束だけで不動産を売る・貸すなどするのはご法度です。
後々『言った言わない』で揉めるケースは結構多いです。
不動産取引するならば、プロによる物件調査を行った上で、しっかりと重要事項説明書と契約書を取り交わしておくことが重要です。
一般媒介は避けた方が良い理由
では『どの媒介契約が良いのか問題』です。
先述した様に、購入の場合は一般媒介一択です。
問題は売却の場合です。
ネット上では一般媒介オシの記事や意見も散見されますが、わたしは専任or専属専任をおすすめしています。
理由は3つです。
①仲介業者が頑張らないから
②価格改定の判断がしにくいから
③仲介業者は『人』で選ぶべきだから
①仲介業者が頑張らないから
一般媒介は、複数の仲介業者に依頼することができます。
そして、一見それはメリットの様にも思えます。
しかし、仲介業者からしてみれば『他で決まっちゃうかもしれない』という契約形態です。
当然ながら、営業マンは自社だけを指名してくれた専任・専属専任の物件を優先します。
新人営業マンであれば、一般媒介でも一生懸命売り込んでくれるかもしれません。
ですが、まともな営業マンなら、専任・専属専任の物件対応で忙しくて一般媒介の物件まで手が回らない、というのが実情です。
とりあえず媒介受けちゃったし、レインズとスーモには掲載しておくか。
よほど売れ線の物件でない限り、このようなスタンスの営業マンは多いと思います。
いずれにしても、一般媒介の物件は専任・専属専任に劣後するという原理原則は理解しておく必要があります。
②価格改定の判断が難しいから
一般媒介の売主は、自らの判断で価格改定を行わなければなりません。
価格改定のタイミングは
売却開始から3ヶ月
ここが目安です。
専任・専属専任なら、営業マンがそれまでの問い合わせ状況や検討顧客の反応などを分析して、改定価格を売主に提案してくれます。
絶対に価格を改定するわけではありません。たまたま3ヶ月で売れないだけで引き合いが多い場合などは価格を据え置く提案をする場合もあります。
一方、一般媒介の場合は原則として仲介業者からの活動報告はありませんし、改定価格の提案もありません。
引き合いが少ないからといて価格を下げようと思っても
市場の反応が分からない中で、売主は自らの考えで価格を見直す必要があります。
大幅に下げれば損するかもしれませんし、幅が小さければずっと売れないかもしれません。
判断材料が少ない中で適正な判断をするのは至難の業です。
ならば、信頼できる一人の営業マンを見つけることに注力した方がずっと効率的だとわたしは思います。
③仲介業者は『人』で選ぶべきだから
そもそも不動産は『数打ちゃ当たる戦法』はマッチしません。
仮に、たまたま買主を見つけてきた仲介営業マンがポンコツだったらどうでしょうか。
不動産は営業マンの資質が取引の安全性に大きく影響します。
そして、不動産仲介は下の記事でも紹介しているような『ダメ営業マン』が結構多い業界でもあります。
不動産は『一物一価』であって、替えがきかない商品です。
営業マンがポンコツすぎて全然売れないとか、手続きでめちゃくちゃストレスがかかるということはよく聞く話です。
お恥ずかしながら、わたしも新人時代は売主様にご迷惑をかけた経験があります。
大切な資産を売るのに数を求めるのは非効率なうえ、かえって雑な扱いをしてると言っても過言ではありません。
大切な資産だからこそ、信頼できるパートナーを厳選するべきです。
信用できる営業マンの特徴やどの仲介会社に相談に行けば良いかについては、下の各記事をご覧ください。
おわりに:一般媒介の唯一のメリットとは?
最後に一般媒介を利用するメリットについてご紹介します。
それは囲い込みを防止できるという点です。
囲い込みとは、仲介会社が他社のお客様の紹介を受け付けないという忌々しき状態です。
自社のお客様で買主が決まれば、仲介手数料は2倍となります。
なので、専任・専属専任をいいことに、囲い込んでしまおうという悪しき仲介業者は正直少なくありません。
一般媒介であれば、そもそも単独での売却活動にはならないので、この囲い込みを防止できるというわけです。
とはいえ、そもそもそのような仲介会社を選ばなければ良いのです。
当ブログでは仲介会社の選び方に関するコンテンツを発信していますので、他記事もぜひ参考にされてください。
以上、本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。