こんにちは。ハルです。
今回は『住宅購入におけるライフプラン相談』について解説します。
仲介会社に行って家探しを手伝ってもらっていると、途中で
と営業マンから提案を受けることがあります。
このライフプラン相談。
仲介会社にとっては非常に良くできた仕組みなのですが、消費者目線からすると余計な生命保険に加入してしまうリスクもある悩ましい存在でもあります。
本記事では、
- ライフプラン相談のメリットとデメリット
- 不動産屋と保険屋に都合が良い理由
- 上手にライフプラン相談を使うためのポイント
これらの内容について『ざっくり』と解説しています。
住宅購入の基礎知識として、ぜひ参考にされてください。
目次
ライフプラン相談とは?
ライフプランとは、直訳のとおり『人生設計』を意味します。
ライフプラン相談では、『これからの人生でどのくらいのお金がかかるのか』といった家計を切り口にして、ライフプランナーと呼ばれる専門家(?)に相談し、人生全体の収支計算を行います。
ライフプランは、いつ・どんな・どのくらいのお金が必要になるかを把握することが目的です。
お金にまつわる先行きの不安が解消できれば、豊かな人生の実現に近づける、このような考え方です。
ライフプラン相談の効果
住宅購入を検討する際にライフプランを作ることは非常に大きな意味があります。
なぜなら、住宅支出は人生の中で最も大きな支出だからです。
家は、豊かな人生を築く上で重要な要素です。
しかし、身の丈以上のコストをかければ、かえって生活が破綻してしまう可能性もあります。
そのため、
- 現在と未来の家計がどんな状態なのか
- とすると、家にどのくらいのコストをかけて良いのか
これらを可視化することで、家計破綻のリスクを低減することに繋がる、というわけです。
家探しをしていると、だんだんと目が肥えてきて『理想』ばかりが膨らんでしまいます。
理想を抱いたまま身の丈以上の住宅を購入し、新生活が始まったとたんに生活苦、こんな状態に陥る方を私は何人も見てきました。
まさに『ローン地獄』
全てがローン返済のための人生です。
こうならないためにも、客観的な視点でライフプランを作り、理想と現実のバランスを理解しておくことが重要です。
『無理のない範囲内で家を買う。』
この原理原則、一丁目一番を守るという意味で、ライフプラン相談には大きなメリットがあると言えます。
不動産屋と保険屋にとって都合が良い理由
さて、
ここからは私の経験談を交えて説明します。
ライフプラン相談には『余計な生命保険に入ってしまうリスク』というデメリットがあります。
仲介営業マンからライフプラン相談の提案を受けた場合、基本的には無料です。
有料ならぼったくりだと思って差し支えありません。
ちなみに私が営業をしていた時も、お客様には無料のライフプラン相談を積極的に勧めていました。
ここで重要なのが、その相談相手であるライフプランナーは、生命保険を扱うバリバリの保険営業マンである、ということです。
仲介営業マンは家を買ってもらいたい、保険営業マンは生命保険に加入してもらいたい。
これら目的達成のために、わざわざ労力と時間をかけて、無料のライフプラン相談をお客様に持ちかけます。
そして当然のことながら、仲介営業マンとライフプランナー(保険屋)は結託しています。
お客様の豊かな人生のために!!
なんて言いながら、結局は商売目的です。
不動産屋と保険屋は相互補完しながら、ライフプラン相談を営業ツールとしてしっかり利用しているのです。
目的達成までの流れ
お客様に家を買ってもらう、と同時に保険にも加入してもらう、という目的達成のために、不動産屋と保険屋は概ね以下のような流れを組みます。
- 無料のライフプラン相談を持ちかける
- ライフプラン相談で年収や予算を聞き出す
- 予算に合う物件を不動産屋が紹介する
- その物件を保険屋もすすめる(←重要)
- 家を契約してもらう
- ついでに保険の見直しをすすめる
こんな感じです。
基本的に、仲介営業マンに対して、『本当の予算』を教えてくれるお客様はとても少ないです。
『ぼったくられたくない』とか『高いものばかり紹介されたくない』みたいな防衛本能が働くからです。
もちろん、信頼関係が築ければ真実を話してくれますが、それにはとても時間がかかります。
一方、ライフプラン相談となると、いとも簡単に真実を教えてくれます。
その上、ライフプランナーは不動産屋が紹介した物件をオススメしてくれます。
ライフプラン的にも、この物件なら購入しても全く問題ないですよ!
と、お客様の背中を押してくれるのです。
我々不動産屋にとって、クロージングまでしてくれる保険屋は本当にありがたい存在です。
その代わり、その後保険屋にはしっかり生命保険の営業をしてもらいます。
ライフプラン相談に満足したお客様の場合、保険の話にもしっかり耳を傾けてくれるそうです。
警戒されがちな保険営業マンにとっても、営業のハードルが下がるのは大きなメリットです。
このような仕組みがあるため、仲介営業マンはどんどんライフプラン相談をお客様に提案します。
余計な生命保険に加入させられるリスク
私個人としても、仲介営業時代は保険屋さんに本当にお世話になりました。
しかし、今さらながら思うのは、
『あの時、お客様が入った生命保険には、きっと余計なものもあったんだろうな』
ということです。
私はあくまで保険屋さんにお客様を紹介する立場です。
そのため、どんな保険商品をお客様に紹介しているのかは知りませんでしたし、あえて知ろうともしませんでした。
そして、その保険屋さんが私に保険営業をかけてくることもありませんでした。
私とは顧客関係ではなく、ビジネスパートナーでいたかったからだと思います。
しかしその後、私が仲介現場から去り、さらに結婚したと聞いた保険屋さんは
ライフステージが変わったんだから
という理由で、貯蓄型の生命保険に加入するように勧めてきました。
私は『昔お世話になったから』という理由で簡単に契約してしまいました。
しかし、よくよく考えてみると自分には全く必要無いなと思い、結局、契約から半年経たずに解約することになりました。
冷静に考えれば、私にとって加入しない判断が適切なはずなのに、保険屋さんの上手な営業トークと『お世話になったから』という負い目の気持ちが相まって、まんまと契約してしまったのです。
この一連の出来事は、私にとって『良い営業の勉強』にはなりました。
同時に、私が紹介したお客様にも『ライフプラン相談でお世話になったから』という気持ちをきっかけに余計な生命保険に加入した方もいたんだろうなと想像させられました。
『悪いことをしたな』と感じている次第です。
住宅購入のせいで保険のハードルが下がる
ここで申し上げたいのは、生命保険の良い悪いではありません。
また、生命保険に対する私の考えも、ここではあえて言わないことにします。
重要なのは、保険は月単位、あるいは年単位の支払いとなるため一回の支出はあまり大きくありませんが、支払いは長期に渡るため、総額は非常に大きいということです。
住宅購入は一度に何千万円という大きな金額を目にするため、意思決定は慎重になります。
しかし、住宅購入と抱き合わせで保険を提案されると、そのコストが軽く感じてしまいます。
そのため、本当は慎重に判断するべき保険選びを、気軽に行ってしまうのです。
上手なライフプラン相談の使い方
ライフプラン相談のリスクを知った今でも、ライフプラン相談には大きなメリットがあるという意見は変わっていません。
ただし、ライフプラン相談をうまく利用するためには、以下のポイントを意識すべきだと考えています。
- 相手は商売目的であること
- 住宅購入と保険は切り分けること
- ライフプランはあくまでも『一般論』であること
相手は商売目的であること
ライフプラン相談の相手はボランティアではなく『商売の一環として時間と労力を割いているんだ』と強く意識すべきです。
無料であっても、必ず相手は見返りを求めてきます。
相談する際には、そのことを意識しながらドライな気持ちで接することが重要です。
ただし、保険営業を受けることにもメリットがあると思います。
金融リテラシー向上のためにも、保険の仕組みを知ることはオススメです。
そして話を聞いた上で、本当に自分には保険が必要だと思えば、加入しても良いのかもしれません。
住宅購入と保険は切り分ける
住宅購入と保険加入を抱き合わせで考えるべきではありません。
ただでさえ、住宅ローンで人生が拘束されるのです。
そこに保険の支払いが加われば、さらに自分を苦しめることになります。
住まいは人生を豊かにしてくれますが(苦しめることもありますが・・・)、保険はどこまで行っても保険です。
安心感が欲しいからと、過度な保険はかえって毒にもなります。
また、一度に一気に家計を変えてしまうと、家庭の変化や病気・怪我など予期せぬ事態が起きた際の対応が難しくなります。
住宅を先に考えるのか、保険を先に考えるのかは人それぞれですが、家計はなるべく徐々に変えていくことが望ましいです。
いずれにせよ、家は家、保険は保険と切り分けるべきです。
ライフプランは『あくまでも一般論』であること
ライフプランは、あくまでも統計的な平均値から導き出した『一般的な家庭』を想定します。
補足:相談者の理想や希望などを交えて変数は加えます
では、そのライフプラン通りに人生が運ぶのかと言えば、個人的には非常に疑問です。
人生には、病気や不慮の怪我、家族との死別などネガティブなシーンがあります。
逆に、平々凡々な一介のサラリーマンが一念発起し、事業を起こして億万長者というストーリーもあるわけです。
したがって、ライフプランは『あくまでも一般論』と割り引いて、一つの指標として捉えるべきだと思います。
そして、その指標を基に様々な状況を想定しておくことが重要で、特にネガティブな事態に備えて十分な貯蓄をしておく必要があります。
この意味でも、ライフプランを過度に信じるがあまり、購入可能額ギリギリで住宅を購入し、家計を圧迫するようなことは絶対に避けなければいけません。
おわりに:最後は自分で考えて決める
家も保険も、最後は自分で考えて決めなければいけません。
『専門家が言ってるから大丈夫』と安心して、言われた通りに家を買い、保険に入る。
私を含めて、これによって後悔する人はたくさんいます。
そんな私が言えることは、
- 「家は家」「保険は保険」と切り分けること
- それぞれの内容に詳しくなること
- そして、その商品を扱う最良のパートナー(営業マン)を選ぶこと
後悔しないためには、これらが重要だということです。
ちなみに、私自身も不動産屋なわけですが、3つ目「パートナー探し」が最も難しいと感じています。
不動産仲介営業マンの良し悪しについては下の記事で解説していますので、ぜひ、こちらもご覧になってください。
以上、本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
ライフプラン相談を受けませんか?無料ですよ^_^