こんにちは。ハルです。
今回はマンションデベロッパーの『メジャーセブン』について解説します。
本記事では
- メジャーセブンとは?
- なんでメジャーなの?
- 各ブランドのざっくりした特徴
- メジャーセブンを選ぶメリット
- メジャーセブンの給与ランキング(超予想)
これら内容について分かりやすくと解説していきます。
不動産業界のまめ知識は不動産売買でも役に立つことがあります。
これから不動産売買を検討されている方は、ぜひ参考にされてください。
目次
メジャーセブンとは?
メジャーセブンとは、大手マンションデベロッパー7社による販売促進のためのウェブサイトの名称です。
以下がその7社です。
- 三井不動産レジデンシャル
- 三菱地所レジデンス
- 住友不動産
- 東急不動産
- 野村不動産
- 東京建物
- 大京
ご覧の会社は、マンション好きの方なら間違いなくご存知でしょうし、これからマンション購入を検討する方も、物件探しの過程で必ず耳にする社名だと思います。
メジャーセブンは『神セブン』
メジャーセブンはあくまで自称の企業グループですが、マンション業界では不動の地位を誇っています。
例えて言うなら、花より団子の「F4」や某アイドルグループの「神セブン」、中国共産党で言えば「チャイナセブン」的な存在です。
メジャーセブンは、2000年4月に『メジャーセブン』という公式ウェブサイトが開設された時がその歴史の始まりです。
どうしてメジャーセブンと自称することになったかというと、ざっくり下記のような背景が理由です。(憶測が入ります)
かつての分譲マンション市場は、人口増加と高度成長の波に乗り『出せば売れる』の状況だった。
そのため、差別化と言えば立地と設備くらいなもので『どこの会社のマンションか』はあまり顧客から重要視されていなかった。
しかし、バブルが弾けた1990年代以降は、経済成長も終わった上に、人口減少の時代となった。
そして、それはマンションデベロッパーによる『生き残り競争』の始まりでもあった。
そこで、イケてる大手7社が集まって『メジャーセブン』と自称することで「新築マンション市場を席巻してしまおうぜ」となった。
ざっくりこのような流れです。
特に、2000年以降は顧客の購買心理も変化していった時代です。
「商品そのものの機能・性能」はさることながら、商品コンセプトや企業理念など、それに紐づく『ブランド力』が顧客の購入意思に大きな影響を与える要素になりました。
メジャーセブンが開設されて以降、各社はマンションの『ブランド化』に力を入れていきます。
それまで複数あったマンション名称を一つのブランド名に統一したり、ブランドコンセプトを作ってメディア展開するなどを積極的に行いました。
そしてそれが功を奏し、メジャーセブンは今もなお、分譲マンション市場において認知度・供給量ともに不動の地位を築いているのです。(ただし、一部を除く)
メジャーセブンが「メジャー」である理由
少しだけ、メジャーセブンのメジャーたる理由について深掘りしたいと思います。
私自身も不動産デベロッパーで勤務しておりまして、
「メジャーセブンはやっぱりメジャーなんだなぁ。」
という印象を持っています。
その主な理由は2つです。
- 豊富なノウハウがあるから
- 再開発事業が強いから
豊富なノウハウがあるから
メジャーセブンはどれも歴史のあるデベロッパーであり、これまで各社ともに延べ数万戸の供給実績があります。
ちなみに、コロナ前の2019年の供給実績では、全国7万戸の供給数のうち約1/3にあたる約2万戸がメジャーセブンのマンションです。
歴史がある分、これまで培ったマンション造りのノウハウはとても豊富です。
ファミリーからコンパクト、タワーマンションや超高級低層マンションなど、各社ともに様々なタイプの商品を手掛けた実績があります。
また、メジャーセブンを含めた大手デベロッパーは『ジョイントベンチャー』(JV)と呼ばれる共同事業の機会も非常に多いです。
最近のプロジェクトで言えば『HARUMI FLAG』がその代表例でしょうか。
共同事業を通じて各社のノウハウを共有し、それをまた自社のマンション造りに活かしていく。
そして、会社にも、そこで働く社員にもマンション造りのノウハウが溜まっていく。
このように、メジャーセブンがマンションデベロッパーとして益々強くなっていく業界構造が作り上げられているのです。
再開発事業が強いから
再開発事業においても、メジャーセブンは非常に強力な存在です。
再開発事業は、事業完了までに数年から長いもので数十年の時間を要する上に、事業そのものの難易度も非常に高いと言えます。
参画するデベロッパーには相応の企業体力と事業ノウハウが備わっている必要があるため、都心の再開発は大京を除くメジャーセブンがそのほとんどを席巻しています。
また、地方都市においてもメジャーセブンの進出が進んでおり、大和ハウスなどを含めた大手資本の不動産デベロッパーの中で、常にグルグルと仕事を回している状況です。
これはまさに『寡占業界』と言えるでしょう。
また、これは私個人の印象ですが、再開発業界はかなり世間が狭く、俗人的な要素が強い思います。
「再開発だけで30年のサラリーマン人生を費やした」このような猛者もこの業界には結構たくさんいらっしゃいます。
再開発事業はどれも規模が大きく、これによって造られるマンションはエリア内でも唯一無二の存在となります。
長い時間と多大な労力が必要となりますが、その分デベロッパーとしての果実は大きく、事業に関わることのできるほんの一握りのデベロッパーが知名度と企業価値を上げていく、このような構造です。
各社のざっくりした特徴
さて、
ここで、メジャーセブン各社の特徴について、ざっくりとご紹介していきます。
(主観ましましでお伝えします。)
三井不動産レジデンシャル
代表ブランド名:パークホームズ
三井不動産レジデンシャルは三井不動産の住宅事業部門を切り離し、2012年に設立されました。
『三井に住んでます』のCMでお馴染みです。
三井不動産レジデンシャルは、マンションデベロッパーでは『兄貴分』的な存在感があります。
東京オリンピックの選手村跡地で開発しているハルミフラッグでは、誰もが知る大手デベロッパーが名を連ねる共同事業体で、事業主幹事として手腕を発揮しています。
また、都心における大規模再開発事業のかなりの数を三井不動産が手掛けており、事業に伴い分譲されるマンションは、自ずと三井不動産レジデンシャルのマンションブランド名(パーク〜)が冠されます。
三菱地所レジデンス
代表ブランド名:ザ・パークハウス
三菱地所レジデンスは、三菱地所と三菱地所リアルエステートの住宅部門を統合し、さらにマンションデベロッパーの「藤和不動産」を吸収する形で2011年に設立されました。
三井不動産と三井不動産レジデンシャルの関係性と同様、三菱地所レジデンスは三菱地所の子会社という位置付けです。
世の中的には「三井・三菱」の財閥双璧を成す企業として知られていますが、供給力や注目物件の数は三井不動産レジデンシャルに対してやや劣勢の印象があります。
住友不動産
代表ブランド名:シティテラス
財閥御三家の一つ、住友不動産は2019年度まで長らく供給戸数ランキングで1位を堅守していました。
住友不動産のマンションは黒を基調とした都会的なデザインが特徴です。
物件のほとんどが大規模物件、それも「メガ級」と言われるほどの数百戸〜1000戸レベルの事業を多く手掛けています。
即完に拘らず、むしろなるべく値下げせずに時間をかけて販売する方針であるため、他社と比べて在庫が非常に多いことも特徴です。
その特徴を活かし、常設する総合マンションギャラリーでは販売中の全物件を一度に比較検討することが可能です。
先ほど『ジョイントベンチャー』について触れましたが、住友不動産はあまり他の企業との共同事業が多くなく、孤軍奮闘している印象があります。
ワンピースで言うと、「鷹の目のミホーク」的な存在です。
東急不動産
代表ブランド名:ブランズ
東急不動産は、1953年に東急電鉄(現在は「東急」)の不動産部門を切り離して設立されました。
東急不動産と東急は現在でも仲が良く、特に東急沿線物件では共同事業を多く行っています。
また、最近では環境問題や高齢社会に対応する商品づくりに注力など、新しい取り組みを積極的に行っています。
他のデベロッパーと比べると、若手思考の組織づくりを積極的に行っており、実際に若手社員がイキイキと働いている印象があります。
野村不動産
代表ブランド名:プラウド
野村不動産が2002年に発表した「プラウド」は、ブランド戦略が最も成功した例であると評価されています。
実際に「プラウドだから」という理由だけで購入を決めてしまう方もいますら。
そのブランド力は非常に強力で「エリア価格の1割高くても簡単に売れる」と業界内で噂されるくらいです。
というか、実際に平気で1割乗せて売っています。そのブランド訴求力は恐るべしです。
また、そのブランド力を裏打ちする立地や高級感のあるデザイン、共用部など、商品企画力の高さも人気の理由です。
ちなみに廉価版のマンションシリーズとして『オハナ』という別ブランドもあります。
東京建物
代表ブランド名:ブリリア
東京建物は、日本最古の不動産会社として知られています。
マンションの開発手法は、その時代では常に先進的である印象があります。
例えば、
・定期借地権マンションの開発
・老朽化したマンションの建て替え
このような、当時では珍しかった開発手法を積極的に行っており、業界のパイオニアとも言える存在です。
もちろん、供給する物件はいずれも好立地かつ充実した商品内容となっています。
大京
代表ブランド名:ライオンズマンション
大京は、社名よりも「ライオンズマンション」が世の中的には有名だと思います。
マンションのエントランスにライオンの銅像が鎮座しており、全国各地で大量に供給されてきたことから、一般的にも知名度が高いマンションブランドと言えます。
2000年前後までは長らく供給戸数でトップを独走していた大京ですが、近年は精彩を欠く状況が続いています。
補足 現在はオリックスの関連子会社です。
現在、都心での供給はかなり少なくなっていますが、一方で地方都市での再開発事業は多く手掛けており、今でも一定の存在感を保持しています。
メジャーセブンを選ぶメリット
個人的に、メジャーセブンの物件を選ぶメリットは以下2つだと考えています。
- 何があっても逃げない
- 他人に自慢できる
何があっても逃げない
住宅は『安心・安全』が最も大切です。
この点、大手資本であるメジャーセブンのマンションは『安心感』があります。
メジャーセブンの物件だからといって、必ず安全な建物であるとは言い切れません。
過去には三井不動産レジデンシャルや住友不動産の物件で施工不良が見つかりました。
2015年10月、三井不動産レジデンシャルが販売した「パークシティLaLa横浜」(横浜市)で、マンションを支える基礎杭が支持層(マンションを支える固い地盤)に達していないことや、施工データの改ざんが発覚した。
出典:東洋経済オンライン
三井不動産に続いて、住友不動産も横浜市の欠陥マンションの全棟建て替えを検討すると表明した。全国のマンション住民の不信感が渦巻く一連の問題は、ゼネコンの経営をも大きく揺さぶっている。
出典:ダイヤモンドオンライン
ただし、いずれの事案においても、所有者に対する補償は非常に手厚いものでした。
かつて『姉歯事件』と呼ばれる構造偽装問題が世間を騒がせたことがあります。
その構造偽装マンションを供給したデベロッパーはすぐに倒産してしまい、結局、所有者に対するロクな補償は行われませんでした。
このような事件は非常に稀ですが、万が一のことは起きてしまうものです。
その際、社会的信用度の高いデベロッパーから購入したのか、あるいは新興デベロッパーから購入したのかでは、資産価値に雲泥の差が生じてしまいます。
あくまで『安心感』ではあるものの、安心・安全の担保を確保するために、メジャーセブンを選ぶことには大きな意味があります。
他人に自慢できる
個人的に最もメリットだと思うのが『自慢できる』です。
服やカバンと同様、ブランド物の家を持つことは、承認欲求を満たし、人生を豊かにしてくれます。
私を含めた庶民には全く関係ないのであくまで参考ですが、メジャーセブンの中でも三井・三菱・住友・大京は最上位ブランドを展開しています。
上記ブランドの価格帯は、ざっくり3億円〜というイメージです。
ちなみに個人的にはプラウドが一番好きです。
メジャーセブンの年収ランキング
最後に、業界で働く私の超感覚で各社年収についてランキングを考えてみました。
第1位 住友不動産
第2位 東京建物
第3位 野村不動産
第4位 東急不動産
第5位 三井不動産レジデンシャル
第6位 三菱地所レジデンス
第7位 大京
あくまで、私の見識に基づく「総合職」の年収を比較したものですので、超参考までにされてください。
おわりに:メジャーセブンを見てマンションを勉強しよう
メジャーセブンは、今では各社の新築物件を掲載するポータルサイトとしての機能がメインですが、もともとは住宅選びのお役立ち情報を発信するサイトです。
そのため、今でも優良なコンテンツが多く掲載されています。
最新の新築マンションをチェックしつつ、メジャーセブンの記事を隈なく読めば、マンションに対する感度はかなり高まるはずです。
住宅購入を成功させるめには、購入者自身の不動産リテラシーが欠かせません。
ぜひ、私のブログ記事も参考にしながら住宅選びに励んでいただければと思います。
↓こんな記事も書いていますので、ぜひご一読ください。↓
以上、本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。